ムーチーとは

旧暦12月8日に、月桃(サンニン)の葉で包んで蒸した餅を仏壇や火の神(ヒヌカン)に供え、 子どもの健康と厄払いを祈る行事です。家族の人数分、あるいは子どもの年の数だけ吊るす家もあります。

この時期は一年で最も冷え込む頃と重なり、沖縄では寒波をムーチービーサ(ムーチーの寒さ)と呼びます。 12月から1月にかけてスーパーや商店の店頭に月桃の葉に包まれたムーチーが並び、 店内が月桃の香りに満ちるのは、沖縄の冬のはじまりの風景です。

「鬼餅(ウニムーチー)」と呼ばれる理由

ムーチーには鬼餅という別名があります。農林水産省「うちの郷土料理」によれば、 首里金城町に残る民話に由来するとされます。

早くに両親を亡くした兄妹がいて、嫁いだ妹のもとに、兄が鬼になったという話が届きます。 妹は兄の好きな餅に鉄を入れたものを用意し、食べさせている隙に崖から突き落として退治した—— そう伝えられています。厄払いの行事であることと、この民話は結びついて語られてきました。

月桃の葉が果たす役割

月桃の葉は、包む道具であると同時に行事の一部です。 蒸すときに立つ香りが家じゅうに広がり、家を浄めるものと考えられてきました。

餅を包んだあとの葉をサン(十字の形)に結び、 人の出入りする戸口や軒先に吊るして厄除けにする風習も残っています。

中身は、もち粉に黒砂糖を混ぜたものが基本ですが、 砂糖を入れない白ムーチー、紅芋、トーナチン(たかきび)を混ぜたものなどがあり、 地域や家庭によって違います。「これが正しい」という一つの形があるわけではありません。

旧暦12月8日は新暦の年をまたぐ

旧暦12月8日は、新暦では1月中旬から下旬にあたることがほとんどです。 たとえば旧暦2025年12月8日は新暦2026年1月26日にあたります。 「旧暦の年」と「新暦の年」が1つずれるので、日付を調べるときは注意してください。